書店経営実態調査報告書を読んで
(2016/12/1日書連書店新聞より)


1999年に22,296店あった書店数が、2015年は13,488店に40%も減少している。こうなった原因はいったい何だろうか? 10年ぐらい前、返品率を下げようとして大手取次が出版社の新刊を絞り出した、そのため新刊配本のない書店が出始めた。新刊は書店の店頭に並んで読者が手に取ってくれるから売れるのです。しかしその機会が奪われた。本屋の店頭が面白くない。景気が良くない、電子書籍、ネット通販等、何が要因なのかははっきりしないが、読者が書店に行かなくなった。そのため雑誌等も売れなくなる。9/18の日経新聞に日書連が10年ぶりに実施した全国の組合員を対象にしたアンケート記事が載っていた。その中で「ベストセラーを希望通り入荷できる」と答えた書店はわずか7%だそうだ。「ほとんど入荷しないことが多い」と答えた店が全体の54%で最も多く、「入荷はするが希望通り入らないことが多い」が34%と続く。この問題は神田村を使えばある程度解決できるが、まだ神田村を使っていない書店さんが多い。今年も神田村の説明をしてほしいというお問い合わせを何件もいただきました。ここ数年で経営状態が「悪くなった」「やや悪くなった」「非常に悪くなった」と答えた書店は合わせて85%とある。

今回太洋社の倒産にあたり、雑誌の配本がなくなり、このままだとお客さんにご迷惑をかけてしまうと、大型書店で雑誌を買い集め、弊社にも雑誌を買いに来た書店さんがありました。たまたま弊社は多くの雑誌を取り扱っていたので、帳合変更が完了するまででしたが、お手伝いさせていただいた。その書店さんには大変に喜ばれました。

この小さな書店が地元のお客様を掴んでいるのだ。お小遣いを持って書店に行き、本を買う読者が、本を読む習慣を身に付け、本を読む読者に育つのだと思う。こういう定期雑誌を売ってくれている書店が大切なのですが、書籍で売れ筋が出ると、そういう書店さんには一切目を向けない出版社が多い。廃業されて困るのはどこなのでしょうか? ネットのQQにいつも週刊Aを売ってやっているのに、俺たちをないがしろにしやがってという書き込みがあった。書店さんの恨みはすさまじいです。 そもそも大型書店にタワー積みする必要があるのだろうか?  博多の中堅書店の社長さんから、1回に何十冊はいらない、お客さんが来た時に渡せる3~5冊あればいい。そして重版のたびにそれぐらい入ればいい。いつ追加が入るかをお客様に伝えられれば、お客様は待ってくれると言っていました。タワー積みされた本が、一か月後大量に返品され、2次配本で初刷りの本が20冊配本されて来たと長崎の書店さんからお聞きした。旬じゃないそんな本を誰が買っていきますか? 不公平ですよね!

特約店は誰が決めているのだろう。神田村で欲しいだけ商品を渡したら、めちゃ売れし、特約店になってしまった書店さんがありました。売れる店だとわからなかったようです。特約店になると、メインの取次から指定で商品が入荷されるようになる。それは仕方ないことですが、おかしな話です。

 今業界であるネット通販会社の横暴が問題になっています。書店の立場からすれば、読み放題は止めてほしいが、この読み放題が問題になっています。

「月額980円で和書12万冊以上の電子書籍が読み放題」になるものだが、人気上位のアイテムにはアクセスが殺到しいている。通販会社は出版社、著者の了解を取ることもなく自社の判断でサイト上から人気アイテムを削除した。この削除に対して講談社はただちに抗議を行ったが、アマゾンは9月末になって今度は講談社の作品全点を削除した。ついに講談社は「アマゾン社の配信の一方的な停止に強く抗議いたします。」との異例の声明を発表した。講談社さんには出版業界の雄として頑張ってほしい。通販会社からは、「道義的には責任はあるが、契約違反ではない。」という回答があったそうだ。

どうすれば、昔のような活気のある出版業界に戻れるのか? 売れ筋の本が出たら、中小書店にも公平に配本する。中小書店でも超売れ筋は売れるはずです。年に1〜2回ぐらい、中小書店さんにも美味しい思いをしてもらいたい。

「ベストセラーを希望通り入荷しない」、「ほとんど入荷しないことが多い」、ここ数年で経営状態が「悪くなった」と答えた書店さんは、ぜひ神田村を使ってみては如何でしょうか? 満数ではありませんが新刊が入ります。補充、客注も早いです。客注品の納期の問い合わせをすれば、いつ入荷するかお答えします。これなら、お客様は待ってくれるはずです。神田村は機動力が有り、小回りが利きます。今後も大手取次さんと共に、お互いの得意分野で書店さんをサポートしていけたらと思っています。     

 


弘正堂図書販売株式会社
代表取締役社長
細野寛行

弘正堂
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