神田村と共に(神田村こう使っている@)
(2011/8/1全国書店新聞より)


小さな書店を始めて今年で15年。特に客注中心の商売をしている。
以前は、大手の取次から仕入れをしていた。
しかし、たやすく手に入るのはブームの去った本。
人気絶頂の本や、一定の年数を経た本は、なかなか入らない。
もし入ったとしても2週間以上経ってからというのはザラだし、お客さんだって
そんなに待ってはくれない。


あるとき同業者の方から神田村の存在を聞き、出かけてみた。
この取次は新聞社系出版社の本がたくさん置いてあるとか、ここは大学出版関係、
ここは地図、ここは建築関係等々、それぞれに得意分野がある。
また、巻頭に地図がある「神田取次(神田村)取扱出版一覧表」という冊子を作っていて、
どこの出版社と取引があるのか一目瞭然なのだ。
そこを目指して行けば、在庫があるば当日、なくても数日で取り寄せてくれる。


それに、なんと言っても取次の人たちがやさしいのだ。
たった1冊が見つからずうろうろしていると、声をかけて一緒に探してくれたり、
なかなか手に入らない本があると版元にすぐ連絡をして聞いてくれたり、
そこの取次では仕入れる冊数が少ないのにもかかわらず、
他で仕入れた本と一緒にダンボールに詰めて宅急便で送ってくれるところもある。
それも送料が格段に安い!
⇒送料について
うちのような弱小書店には涙が出そうなくらいありがたい!!


大きな書店に行けば所狭しと並んでいる本たちは、お客さんの心をくすぐる。
では、小さな書店ができることは何だろう。
そんな細かい対応をしてくれる取次があるからこそ、小さな書店もお客さんの細かい
ご要望に応えることができるのだと思う。
それはやがて信頼となっていく。
お金と物のやりとりだけではない、血の通った商売ができること。
それが何よりうれしい。

 

(東京都国分寺市)

弘正堂
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