神田村と共に(神田村こう使っているG)
(2014年/6月全国書店新聞より)


神田村を使い始めておよそ1年になります。

コミックの売れ筋を中心とした仕入れに活用しており、その効果もあって店全体では昨年対比を毎月超えるようになってきました。

 

以前は版元と主帳合取次に在庫がなければ諦めてしまっていたのですが、初めて神田村の店売を見てまわった時の「あるところにはある」という新鮮な驚きは忘れられません。

また、私はこの業界に入って10年以上になりますが、「首都圏以外の書店も神田村から仕入れができる」ということすらも知りませんでした。(弊店は九州の書店です)

 

以前は九州にも取次の店売がありましたが、取次在庫集約の為、九州の書店が実際に現物を手に取って仕入れを行うことは、ほとんど不可能になってしまいました。

もちろん、神田村も東京ですので、首都圏の書店のように頻繁に訪れ、現物を見て仕入をすることはできません。 しかし、ほぼ毎日のようにメールやFAXなどで送ってくださる入荷情報は有難く活用させていただいていますし、発注をすると安価な送料で2〜3日後には店着するスピードは重宝しています。

 

書店が繁盛していくために必要な要素は多々あるでしょうが、私はすべての工夫や努力は「お客をつくり、維持する」という目的の為だと考えています。

書店経営に必要な経費をねん出していくためには、自ずから必要な利益が導き出されます。

その利益を上げるために売上はいくら必要か、一日に何人のお客様に来ていただかなくてはならないのか。  つまるところ、親切な接客や居心地の良い売場づくり、便利なサービスの提供や楽しいイベント企画なども、(ネット書店や電子書籍を含む)競合店・競合サービスに負けない価値を提供し、お客をつくり、維持するためでありましょう。

どんなに競合が強くても、自店の継続に必要な売上さえ上がれば(お客を確保できていれば)事業は続けられるのです。

そしてそれらの各要素のなかでも最も重要な要素が「品揃え」であると私は思います。

極端なセレクト型書店を除けば、ベストセラーや売れ筋商品の品揃えが十分でなければ、お客の期待を裏切ることになってしまいます。 それが幾度も続けば、「あそこに行ってもどうせないよ」と客足は遠のいていくでしょう。

まずは、「あの書店は大きくはないけれど、話題になっている本や人気の本がちゃんと入荷している」そう思って頂けるようになりたい。 そのためには、お客様の「読みたい、欲しい」というニーズ、「あの店には入荷してるかな」という期待に、ひたすら地道に応え続けていく事が肝要ではないでしょうか。 その上で、こだわりや地域性を加味した独自の取り組みなどによって自店ならではのファンをつくり、確固たるポジションを築くことが出来れば上々です。

日々の細やかな仕入れによる、書店に対する期待と信頼の醸成こそが書店の持続可能性を高めてくれます。

「あの書店に行けば、読みたい本が必ず見つかる」

長い道のりですが、お客様にとってワクワクする必要不可欠な書店であるために、版元・主帳合取次とともに神田村は力強い味方になってくれることでしょう。

 


 

弘正堂
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